昭和57年、石川啄木の没後70年を記念して岩山山頂に啄木の銅像が建てられました。銅像の正面に啄木・節子夫妻の歌碑があります。
また、啄木生誕111年を記念して平成9年に作られた啄木詩の道には、「ふるさとの山に向かひて言ふことなし/ふるさとの山はありがたきかな」などの歌碑が10基あります。

石川啄木

　　　汽車の窓
　　　はるかに北に故郷の
　　　　　山見えくれば襟を正すも

石川節子

　　　光淡く
　　　こほろぎ啼きし夕より
　　　　秋の入り来とこの胸抱きぬ

碑文は啄木の直筆です。

　　　　それとなく
　　　　郷里のことなど語り出でて
　　　　秋の夜に焼く餅のにほひかな

　　　　何となく
　　　　今年はよい事あるごとし
　　　　元日の朝晴れて風無し

　　　　友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
　　　　花を買いきて
　　　　妻としたしむ

　　　　わが恋を
　　　　はじめて友にうち明けし夜のことなど
　　　　思い出づる日

　　　　不来方のお城の草に寝ころびて
　　　　空に吸はれし
　　　　15の心

　　　　ふるさとの訛なつかし
　　　　停車場の人ごみの中に
　　　　そを聴きにゆく

　　　　盛岡の中学校の
　　　　露台の
　　　　欄干に最一度我を倚らしめ

　　　　ほたる狩
　　　　川にゆかむといふ我を
　　　　山路にさそふ人にてありき

　　　　岩手山
　　　　秋はふもとの三方の
　　　　野に満つる虫を何と聴くらむ

　　　　ふるさとの山に向ひて
　　　　言うことなし
　　　　ふるさとの山はありがたきかな